ギリシャの哲学者ソーザ・イナシデス名言集

ソーザ・イナシデス(1679生~1731没) 日本で全く無名というだけではなく、祖国ギリシャでも忘れさられた存在。簡潔・明快な短文の名手で、大量の日記と書簡に、多くのアフォリズムを残した。

イナシデス、宗教について、かく語りき

 

 神を信じるということは、自分は強運だと信じているだけである。

 

 運を神と思える者は、宗教に走る。神を運と思える者は、占いに走る。神も運も不条理としか思えない者は、虚無に陥る。

 

 信仰と運の良し悪し、関係なし。

 

 常に迷信を馬鹿にしながら、急に迷信が怖くなるのが、人間である。

 

 最大の罪は、死をもたらすことではなく、相手の自尊心を奪うことである。

 

 人の心は癒える。あるいは、癒えなくても生きてはいける。

 

 人間、生きることに懸命であれば、死の不安なんて感じない。

 

 罪の告白と愛の告白の共通点は、どちらも嘘が混じっている点である。

 

 金持ちはそれだけで罪深く、天国へ逝けない。貧乏人は、実際に罪を犯すので、天国へ逝けない。

 

 地獄へ落ちた方が妥当な者ほど、地獄生活について関心がない。

 

 この世のことは、たいがい想像がつく。あの世のことは、ただの願望に過ぎない。

 

 無を受け入れられないのは、ただの思い上がりである。

 

 大人になるということ。幽霊より、人間の方が怖いと気付くこと。

 

 宗教家もまた俗人である。聖人から俗気が抜けるのは、死後の時間のお蔭である。

 

 宗教家、悪い職業。自分だけ反省すりゃいいのに、あちこち行って、知らない人まで巻き込む。

 

 宗教家の仕事。別に宗教家にならなくても、出来ることばかり。

 

 神によく祈る者、一転して、神に悪態つく可能性の低くない者。

 

 宗教と闘ってはいけない。宗教とは人間の憐れさの象徴であって、それを責めたって仕方ない。

 

 求めるな、どうせ与えられん。

 

 最近の神の口癖。「もう、ウンザリ!」

 

 

 

 

イナシデス、幸福について、かく語りき

 

 幸福は、色々捨ててから、やって来る。不幸は、色々と持ち過ぎるから、やって来る。

 

 幸福は、日常の中にあるものであって、空想の中にあるものではない。

 

 幸福は、掴んだ瞬間、幸福じゃないような気がしてくる。

 

 自分だけの幸福は、うしろめたいばっかりで、次第に、幸福じゃなくなっていく。

 

 何も起きないという幸福。そして、幸福という退屈。

 

 計画を立てるのが好きな人、実現しなくても幸せな人。

 

 面倒臭がりでいられる人、幸福な環境。

 

 やたら忙しいのも、やたら暇なのも、幸福の証。

 

 不幸な人、他人の悪い面より、良い面ばかり見て、自分を嘆く。

 

 不幸な人ほど、小さな幸福を発見する能力がある。

 

 不幸な人でも、基準だけ変えれば、不幸でもない人に変身出来る。

 

 一瞬だけなら、どんな人生にも、輝きがある。

 

 幸福な人ほど、無意識に自爆してしまうものである。

 

 何かひとつ興味があれば、それが生きる理由になる。

 

 花(人生・才能)は、いつも予告なしに開く。

 

 欲張らない、憎まない、先のことは考えない。これを守るだけで、少しは気が晴れる。

 

 幸福も不幸も、本当に強引な訪問者である。

 

 長い幸福も、長い不幸も、どちらも、その後の幸不幸の物差しを狂わせる。

 

 幸福な人は俗である。不幸な人は、もっと俗である。

 

 幸福と思い込むのも知性なら、思い込めないのも知性である。

 

 

 

 

イナシデス、美学について、かく語りき

 

 美学とは、他人には分からない、自分の価値観のことである。

 

 自分の美学がある者、他人の批判も嘲笑も恐れたりしない。

 

 自分の美学がない者、他人の言いなり、世間に合わせて生きるだけ。

 

 嘘をつき、嫌われて、反省するようでは、真の嘘つきではない。

 

 ケチなことをし、嫌われて、反省するようでは、真のケチではない。

 

 自尊心を半分にすることは出来る。しかし、更に半分には出来ない。

 

 誰に対しても同じ扱いをすることが、公平と言うなら、私は不公平を支持する。

 

 人を見る目のない人間に、馬鹿にされるのは、本当に光栄である。

 

 世間の批判も、たまに浴びるくらいなら、結構、心地良い。

 

 変化がないのも、罰と同じ。

 

 人並みという自覚のある人、自分を省みない。そのくせ、人並みとは言えない他人を、責めたがる。

 

 与えたがる人、凡人。貰いたがる人、凡人以下。

 

 お気楽に生きる、大変な才能。

 

 あるのに欲しがるな。なくなってから、欲しがれ。

 

 所有しようと思わなければ、失なうこともない。

 

 野心のある人、ない人の倍、あちこちで頭を下げている。

 

 大きな社会的成功を願っている者は、誰の悪口も言わない。

 

 人生は全て、ぶっつけ本番。

 

 二周しても、三周しても、分からない時は、もう一周するしかない。

 

 言い訳がましい文明人であるより、単純な野蛮人でありたい。